外壁塗装における「コーキング」の役割
外壁塗装をする際、塗料の種類や料金のことと同じくらい重要なのが「コーキング」です。建物を守るために色んな隙間を補填する作業になります。要素としては地味ですが、建築物を守るために大変重要な業務になります。こちらでは、地域密着企業として岡山県岡山市を中心に30年以上の実績をもつ「大塗屋」が、コーキングの概要やその重要さについてご紹介します。
概要
コーキングとは、建築物の機密性や防水性を確保するために、ひび割れや外壁材同士の隙間、窓枠や水回りの縁を目地材などで充填することです。
モルタルや漆喰のような「塗り壁」はひび割れが起こりやすいため、コーキングでひび割れを補修します。また、パネル状の壁材を建物の側面に貼り付ける「サイディング」や「ALC」の際にも、コーキングが必要です。
「コーキング」と「シーリング」の違いは?
目地のことをコーキングやシーリングと呼びますが、両者の違いは、以下のとおりです。
コーキング
「隙間や穴に詰め物をする」という意味があり、目地に詰め物をすることを指します。
シーリング
「密閉する」という意味があり、防水などを目的として詰め物をすることを指します。
ただ、実際には両者の違いはかなり曖昧で、外壁塗装工事や補修工事の施工内容に違いはありません。そのため、あまり意識する必要はないといえるでしょう。
コーキングの役割
コーキング材は、主にシリコンやポリウレタンなどからできている樹脂製品です。水や空気を通さないため、隙間に充填することで密閉状態をつくることができます。
コーキングの代表的な役割を見ていきましょう。
ひび割れ防止
コーキング材は、ゴムのように弾力性のある性質を持っています。柔軟に伸縮できるため、温度の変化や地震によって絶えず膨張と収縮を繰り返す外壁材の隙間をコーキング材で埋めることで、クッション代わりになってくれるのです。これにより、コーキング材が衝撃を緩和し、ひび割れができにくくなります。
サイディングボードやALCパネルの隙間を埋める
サイディングボードやALCパネルを外壁に使う場合、壁材同士の隙間を埋めるためにコーキングを要します。コーキングをしないと、壁材同士の隙間から雨水が侵入し、雨漏りが起きたり、内部にカビが発生したりと家屋全体の傷みにつながります。コーキングをすることで隙間から雨水が侵入するのを防ぎ、壁材はもちろん、家そのものの寿命を延ばしてくれるのです。
外壁などの補修
外壁にひび割れ(クラック)が発生した場合、補修の多くにコーキング材が使われます。コーキング材は防水効果があるため、ひび割れ箇所から雨水が侵入するのを防ぐことができるのです。とはいえコーキングも劣化するため、コーキング材に劣化が見られた場合には早めの補修がおすすめです。
使用箇所
コーキングは、お家のさまざまな場所で行なわれています。身近な場所にも使われているので、詳しく見ていきましょう。
屋外
サイディングボード同士の隙間
家の外壁材にサイディングボードやALCを使用する場合には、壁材同士の隙間に目地が生まれるためコーキングで埋める必要があります。
窓ガラスのサッシまわり
ガラスサッシなどの窓枠は、あらかじめ壁に開けておいた穴にはめ込みます。そのため、窓枠と壁の間には隙間が生じ、放っておくと雨漏りの原因になるのです。コーキングで隙間を埋めることで防水され、雨水が建物内部に浸入するのを防ぐことができます。
配管やパイプまわり
パイプや配管も、建物に穴を開けて通しています。隙間から雨水の浸入を防ぐ目的で、コーキングが施されています。
屋内
浴室・浴槽
浴室のタイルや、浴槽まわりなどにコーキングがされています。水まわりは、内部への水の浸入を防ぐため隙間をきちんとコーキングすることが重要です。
キッチンまわり
キッチンまわりも水を多く使うため、コーキングが欠かせません。シンクまわりやシンク下のパイプなどにコーキングが施されています。
洗面台まわり
洗面台も水を使うため、コーキングが必要です。水が入り込みそうな隙間にコーキングが施されています。
コーキング材の種類
コーキング材は、大きく分けて5つの種類に分類されます。特性が異なるため、特徴を理解し用途に合った使い方をするのが重要です。コーキング材の種類は、以下のとおりです。
【コーキング材の種類】
種類 | 特徴 |
---|---|
アクリル系 | 1980年以前に主流だったコーキング材です。経年によるひび割れに弱いため、現在ではほとんど使われていません。 |
ウレタン系 | コンクリートのひび割れや、補修に使われるコーキング材です。木材にも使用できます。密着性に優れており、弾力性があるのが特徴です。一方、紫外線に弱いため、上からの塗装を必要とします。 |
シリコン系 | お風呂やキッチンなどの水まわりで、最も普及しているコーキング材です。耐久性・耐候性・耐熱性・撥水性に優れています。しかし、塗装はできません。 |
変成シリコン系 | 塗装ができるため、外壁で使われているコーキング材です。水まわりでも使用できる万能性がありますが、シリコン系と比べ耐久性が少し劣ります。また値段が高く、施工に手間がかかります。 |
油性コーキング材 | 酸素で硬化するコーキング材です。ひび割れへの追随性が高いため昭和から重宝されてきましたが、動きに対する耐久性が低く、現在はあまり使われていません。 |
外壁塗料と同様、現在はコーキング材も「シリコン」系が主流になっています。「シリコン系」と「変成シリコン系」は、名前は似ていますが原料が異なります。「シリコン系」がシリコン樹脂が原料なのに対し、「変成シリコン系」はポリエーテル樹脂を変成した樹脂が原料です。名前は似ていますが、別物である点に注意してください。
コーキングの寿命
外壁塗料と同じようにコーキングにも寿命があり、一般的な住宅に使われるコーキング材の寿命は、5〜10年といわれています。コーキング材は、絶えず膨張や収縮を繰り返しているため劣化しやすいのです。
コーキングの寿命が切れてしまうと、建物の防水性が下がり、雨漏りや壁材の腐食などの原因になるため注意が必要です。以下の症状が現れた場合には、コーキング材が劣化しています。
【コーキング材の劣化のサイン】
- コーキング材にヒビが入っている
- コーキング材が剥がれている
- コーキング材がやせ細っている
コーキング材の劣化のサインを見つけたら、信頼できるプロの塗装業者に相談してください。
「増し打ち」と「打ち替え」
コーキングの工法には、「増し打ち」と「打ち替え」の2つの方法があります。
増し打ち
増し打ちは、現在打ち込まれているコーキング材の上から、新しいコーキング材を充填する工事です。古いコーキング材の撤去が必要ないことから、費用が安く済むメリットがあります。しかし、下に古いコーキング材が残っているため、新しいコーキング材の劣化が早まったり、すぐに剥がれてしまうおそれがあります。
打ち替え
打ち替えは、現在打ち込まれているコーキング材を剥がして、新しいコーキング材を充填する工事です。コーキング材をすべて新しくするため、次の工事までの期間を延ばし、ランニングコストを下げることが期待できます。ただ、コーキング材を剥がす作業が加わるため、必然的に増し打ちよりも一度の費用が高くなります。
「先打ち」と「後打ち」
コーキングをする順番の呼び方に、「先打ち」と「後打ち」があります。名前のとおり、先打ちは外壁の塗装をする前にコーキングをすることで、後打ちは外壁の塗装をした後にコーキングをすることです。コーキング材を打つタイミングは、「外壁材や外壁塗料の種類」「コーキング材の種類」「施工方法」によって変わってきますが、コーキング材の種類によっては上から塗装ができないものもあるため、多くの場合「後打ち」が基本となります。
コーキングの先打ちと後打ちには、それぞれメリットとデメリットがあるので詳しく見ていきましょう。
先打ち
先打ちのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
【先打ちのメリットとデメリット】
※表は左右にスクロールして確認することができます。
メリット | デメリット |
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先打ちの場合、コーキング材が塗装によって保護され長持ちしますが、塗膜がひび割れる危険性があるのがデメリットです。
後打ち
後打ちのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
【後打ちのメリットとデメリット】
※表は左右にスクロールして確認することができます。
メリット | デメリット |
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後打ちの場合、コーキング材が原因となる「塗膜のひび割れ」の心配はありませんが、コーキング材自体が早く劣化するおそれがあります。コーキングを先打ちにするのか後打ちにするのか決めるには、「外壁材や外壁塗料の種類」「コーキング材の種類」「施工方法」など、多くの要因が関係してきます。安心して相談できる、プロの塗装業者に相談してみてください。
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